カイロぐらいって……日本から一歩も出た事のない僕からすれば、充分すごいんだけどなぁ。


「お父さんから貰ったんだ。
そういうのって、いいよね。」


がらん、ごろん、と。


低めのわりに、結構大きな音を立てるカウベルを見ながら、僕はリョクの後ろを歩いていく。


「んー。
そうだよな。
親父はあんまりモノにこだわる人間じゃないからな。
こーゆーのを貰ったりしたのって、そういや、これっきりだったなぁ。」


前を向いて歩き続けながら、リョクはそう言った。