「すんげー、顔真っ赤。
大丈夫か?ミキ。」


ニヤニヤ笑いながら、リョクが聞いてくる。


んもうっ!


誰が僕をこんな風にしたんだよっ!


リョクのばかぁ。


僕は心の中だけでリョクに文句を言うと、膝の上に抱えた僕のリュックの上に顔を伏せた。


「あとで山に入る前に、もいちど虫除けを塗ってやるから。」


わざわざ席から腰を浮かせて、リョクは僕の伏せた顔の横で囁き、何食わぬ顔で座りなおすと窓の外に目をやる。