リョクの解説に引き込まれるように、僕は聞き入っていて。


そうして、そっかぁ、と言いながら納得していた。


「あ、それと。
ちょっと手、出して。」


思い出したように、リョクがポケットのいっぱい付いたベストの、ひとつのポケットからチューブ状の入れ物に入った塗り薬っぽいのをふたつ取出しながら言った。


言われるままに手を差し出した僕の手を大事なものを持つように、そっと持ち上げたリョクは窓際に当たるほうに置いてあった腕のシャツを少しめくりあげて、そこにほんの少しずつ、薬をすり付けるように塗った。