ぼそり、ぼそり、とリョクが話す言葉が柔らかく僕の肩口から響いてくる。


抱き締められたまま聞いている僕は頷くこともためらわれて。


僕の胸の前で交差されているリョクの腕にそうっと掌をあてていた。


「………けど。」


僕の掌の上に自分の掌を重ねて、包み込むようにしながら、リョクは言葉を続けた。


「昨日、大きな山火事が起こっちまって、親父は足止め。
オフクロも、国際的問題になるかも知れないからって対策会議に追われることになっちまった。」