「ミキ………。」


リョクが僕の名前を、困ったような声音で呼ぶ。


「もしかして………俺が居なくなるかもしれないって………それで?」


聞きたかった事が、リョクの口から出てきて。


けど僕には、その答えを聞く覚悟が出来ていなかった。


「や………っ!」


両手で耳を塞いで、目をぎゅっとつぶり、僕は世界を閉じてリョクの言葉を拒否しようとした。


そんな小さな子供みたいな反応をした僕の事を、リョクは両手でぎゅうっと力強く、だけど優しく、抱き締めた。