「そう言えば、リョクの制服ってまだ出来上がらないの?」


お弁当箱をバッグの中に片付けながら、僕は少し前から疑問だった事を尋ねた。


リョクが今着ている制服は、2月に転入してきた時から着ている、お父さんが昔着ていたという制服で、うちの学校の制服とは違う。


一応、私立で進学校だから制服はきちんと着るようにうるさいぐらいに言われるんだけど、どうしてリョクが違う制服で通っているのに何にも言わないんだろう?


「んー。
あー。
それ、な。」


リョクにしては珍しく、歯切れの悪い言い方で、明後日の方を向いてしまった。