「もうすぐ、桜が満開だよね。」


僕達が揃って3年に持ち上がって、リョクが僕しか所属していなかった園芸部に入ってくれて。


そんな4月の昼休み。


少し遅れていた桜を見ながら、僕はリョクに話し掛けた。


池のほとりではツツジのつぼみが花開く時を待っていたし、この中庭にもライラックやジャスミンが出番を今か今かと待っている。


「また、花の季節が始まるよね。」


リョクが飛び出してきた沈丁花の茂みを見ながら僕は言った。