「抱きついたままで、ガッコ行くか?」


笑いながらリョクが言う。


「それとも………本気で、先刻の続きする?」


僕の耳元まで口を寄せて、意地悪く魅力的な声でそんな事を囁くリョクに、僕は慌てて首を振った。


いつ誰が入って来るか分からないようなトイレでは………やだよ。


そんな僕を見て、また小さく笑ったリョクは抱きついてる僕の腕を優しく外して、僕のかばんを手渡してくれた。


「も……大丈夫だよな?」


どこまでも優しくそう尋ねてくれるリョクを見上げて、僕は頷いた。