「リョク‥………。」


されるがままに緩くネクタイを巻かれ、上着を着せかけられた僕をリョクはもう一度抱き寄せた。


「俺の配慮が足りなくて、あんな胸クソ悪い場所に同席させちまって、ゴメン。
でも、あんな奴の言った事なんかに惑わされることなんてないぞ。
ミキはちゃんと、嫌ならそう言える勇気を持ってるんだし、被害者が誘っただなんて寝言言う奴なんて、ロクな奴じゃないしな。」


大きなあたたかい手で僕の頭を撫でながら、リョクがくれた言葉を聞いていた僕の目から。


どうしてだか。



涙がこぼれた。