花は野にあるように

いよいよ、始まるんだ。


そう思ってしまうと、急に僕はドキドキと早く刻んでいる胸の鼓動を意識してしまった。


今から、王子さま役のリョクが舞台に登場して僕を見つけて………そうして。


キスシーン。





だよね。


その事を思うと、ドキドキは更に早くなってしまったような気がして。


僕は胸の前で祈るような形で合わせさせられていた両手に思わずギュウッとチカラを込めてしまった。


でもそうでもしなきゃ、この緊張感にはとてもじゃないけど耐えられなくって。


あぁ、もう、いっそのことサッサと終わらせてしまえればいいのにっ!