花は野にあるように

自分が写っているキスシーンの写真が流出するのがイヤっていうんじゃなくって、僕が写っているキスシーンの写真が流出するのがイヤダって思ってくれるリョクの気持ちが、僕の胸の奥の方をあったかくしてくれる。


幸福ってこんな感じなんだよね、きっと。


「はいはーい。
おふたりさん、見つめ会うんなら次のシーンが始まってからご存分にー。
セットの方も終わったから、スタンバイお願いしていいかなー。」


ごほんごほんと、わざとらしい咳払いをしながらいつの間に隣に立っていた小林さんが言うまで。


僕はリョクを見上げながらそんな事を考えていた。