「リョクが悪いんだからねっ!」


理事長先生のお家を出て、『秘密の花園』を通り抜け、中庭へ続く小径を歩きながら、僕はリョクにプンスカと怒っていた。


「リョクが変な紹介するから、千代さんが僕の名前を誤解したんだよっ?
僕の名前は『オレノ ミキ』じゃないってば!」


そう。


さっきニコニコと笑いながら千代さんに『オレノさま』って呼ばれた僕は、とりあえずその場は笑って返事をしたんだけど。


歩きながら思い返してみれば、その原因ってリョクの紹介にあるんじゃないかって気付いていた。