リョクに背中を向けたまま、勝手知らないよそのお宅の廊下に飛び出した僕は、そのまま路頭に迷ってしまった。


………って事になる筈だったんだけど。


「食卓はご用意させていただいたんですけどね、ちょっと失礼して、あちらでアイロンを使わせていただいておりますので、お給事をご自分達でお願いできますか。
ご飯もお汁物も、たあんとご用意させていただいてますからね。
ご遠慮なさらずに、たくさん召し上がって下さいね。」


機関銃のように話す千代さんに廊下で遭遇した僕は、口を挟むスキも与えれないままに食堂に連れてこられていた。