花は野にあるように

さや、と吹き抜ける風にこぼれ落ちたようなリョクの声が運び去られる。


「え?」


と、聞き返した僕の小さな声も遅れて届いた葉ずれの音に消されてリョクには届かなかったみたいで。


でも、リョクからはさっきまでの何だか気落ちしているような気配は消えていた。


「ん。
なんだか無性に頑張らなきゃな、って気分が湧いてきたな。
身体も温まったし、よし。
ミキ、一緒に出るか?
朝飯、食おうぜ!」


気分が変わったらしいリョクは1人ではしゃいだような声をあげると、こっちを振り向いて立ち上がろうとする。