なんていう僕の心配になんて全く頓着しないまま。


「千代さーんっ!」


リョクは廊下を進みながら良く通る声で誰かの名前らしいものを呼ぶ。


すると。


「あらあら、はいはい、おや。
緑風さまじゃないですか。
こんな朝早くから珍しいですね。
けれど奥さまに御用でしたら、もう遅いですよ。
お出掛けになりましたからね。
あら?
そちらの方は?」


どこからか現れた女の人が怒涛の勢いで話しかけながら僕達の方へと近寄ってきた。