「おーっと。
急がなきゃだよなー。」


すっごく立派な純和風の母家に飛び込んで。


そして勝手知ったるとばかりにザンザカと進むリョクの腕に抱かれたまま、僕は初めてお邪魔した理事長先生の家の中を通り抜けて行く。


「ね、ねぇ、ちょっと!
か、勝手にお邪魔しちゃっていいの?」


運ばれちゃってる僕は、ただリョクを見上げながら、そう訊ねたんだけど。


「んー?
ま、いんじゃね?
ばあさんはもう居ないだろうしな。」


えっ!


理事長先生が居ないのに、勝手に入り込んじゃっていいの?