花は野にあるように

「………『ホーム』、ね。
ん。
おっちゃんのトコからドラム缶をさっきみたいに転がしてきて、風と戦いながらかぶせたまでは良かったんだけどさ、あんなに重さがあるのに風に負けて倒れそうになるんだよな。
固定するだけの道具は用意してなかったし。
だから、な。
押さえてた。」


「……………え?」


うんうん、とリョクの話を聞いていた僕はそこで思わずリョクを見つめてしまった。


「押さえてた………って?
ドラム缶をずっと?
あんなに真っ暗だった夜の中で、ずっとリョクはあの場所で押さえていたのっ?」