「お。
ミキ、おかえり。
大盛の牛丼、待ってたぜ!」


中庭に戻った僕を、リョクは両手を広げて迎えてくれた。


そんなに牛丼を食べたかったのかな?


僕が買いに出ていた少しの間に、リョクはいつもは花台にしている小さな椅子を出してきて並べてあった。


そういえば、劇の練習が始まるまでは、いつもこの中庭でこうやってリョクと2人でお弁当を広げていたんだよね。


ほんの少しだけ前の事なのに、なんだかすごく前の事のような気がするよ。


「んじゃミキ、こっちに座って。
あ、ちょっと沈むだろうから気をつけて座るんだぞ?」