まったく話に付いていけなくて返事もロクに出来ない僕の手の中に、リョクはそう言いながら何かをねじ込んでくる。


「なに………?」


訊ねながら視線をやると、そこには確かミャオ族っていう少数民族の人が作ったんだって前に言っていたリョクの財布があった。


「ん?
だから、牛丼の買い出し。
ミキも好きなカスタマイズの奴、買ってこいよな。
あ、卵はふたつな。
割れないように気を付けるんだぜ?
割りばしと爪楊枝も忘れないでくれよな?」


ニッコリと笑って、ポンって肩を叩かれて。


そうして僕は、買い出しに送り出されてしまった。