「牛丼だよ、牛丼。
うちのガッコの食堂って、何食っても旨いんだけどさメニュー少ないだろ?
カレー丼はあるのにさ、牛丼ねえんだよな。」


明るい笑顔と声を、ふんだんに僕に振り撒いてくれながら、リョクはまたヒョイッと身軽に台の上を飛び越えて僕の隣へと帰ってくる。


「やっぱさ、日本人なら牛丼食わなきゃだよな?
ミキもそう思わねえ?」


「え………あ………え?」


「米の飯に、煮込んだ玉葱と牛肉。
シンプルな中にも突き詰めれば奥が深い。
語り始めるとキリがないよな。
てなわけで、大盛の卵付きで。」