「龍…神木はいる?」

昼休み。2年4組を訪れた冬夜は近くに居た女子生徒に声を掛けた。

「ゆ、悠妃くん!えっと、神木くんは生徒会の仕事があるからお昼休みはいつもいないよ」

恥ずかしそうに顔を赤らめている女子生徒をよそに、冬夜は少し考えるような素振りを見せて礼を言った。

「ありがとう。じゃあ、出直すよ」

またと言って手を振るが、その女子生徒は手を振り返すことも出来ず放心したように冬夜を見送った。


2年4組を出た冬夜は生徒会室に行くわけにもいかず、仕方なく放課後まで待つことにした。

「つーか、来いって言ったのにいないって…」

八つ当たりだとわかっていてもついつい愚痴をこぼしてしまう。