起きてみるとすでに朝になっており、置いていたはずのグラスがなくなっていた。

おそらく彩都が来たんだろう。まぁ、そのことはいいとして…


「待ちやがれ!」

今は…あいつらをどうやって撒《ま》くかが問題だ。

「待てって言われて待つ奴はいないだろ!」

廊下を全力疾走する冬夜と不良たち。

昨日の一件のせいで冬夜に対する彼らの興味の意味合いが変わったようだ。

自分で人間だと言った覚えはないが、彼らが冬夜のことを人間だと思っていたのは間違いない。

それなのに冬夜から流れた血は純血のヴァンパイアのものだった。

しかも怪我をしていたはずなのに、今日にはそれがなくなっている。

これだけあれば疑いを持つには十分だ。

「何がどうなってるのか説明しろ!」

後ろから聞こえる怒鳴り声を無視して冬夜は走り続ける。

と、急に冬夜が開いている窓から外に飛び出した。

「嘘だろ!」

ちなみに今までいたのは3階である。

不良たちが慌てて窓に駆け寄って下を見ると、木を器用に使って冬夜が地面に着地していた。

上から見下されていることに気付いた冬夜は不良たちに手を振って走り去って行った。


「…有り得ないだろ」

不良1人がポツリと呟くがそれは皆が思っていることだった。