「じゃあ、遠慮無く」

嬉しそうにいそいそと冬夜に近づくと正面から抱きしめ、首筋に顔を埋《うず》める。


「いただきます」

彩都が冬夜の首筋に舌を這わせてから牙をたてた。

「うっ…ぁ…」

僅かな痛みが冬夜を襲い、声が漏れる。

これまでも何度も彩都に血を分けているが未だに慣れない。

冬夜は彩都の服を掴んで動かないように手に力を入れた。

血を飲んでいる彩都は、時折口を離して息を吐《つ》く。

その度に息がかかり冬夜の身体が跳ねる。


しばらくして彩都が牙をたてた場所を舐めて傷を塞ぎ、冬夜から離れた。

「ごちそうさま」

彩都が離れた冬夜はベッドに倒れ込んだ。

「兄貴…今日ちょっと飲み過ぎ…」

軽く貧血になってしまいしばらく動けそうにない冬夜に、満足そうな顔の彩都が悪びれた様子もなく笑う。

「悪いな。大丈夫か?」

「あぁ…」

「何か飲み物でも持ってくるよ」

そう言うと、すぐに彩都は部屋から出ていった。