“妹”
彩都の妹。
彩都の妹とは冬夜のこと。
つまり、冬夜は女なのだ。
冬夜は純血のヴァンパイアの家系に生まれたのも関わらず、特別な能力を全く持っていない。
それ故、本人も同意の元で男と偽って高校に通っている。
元はと言えば、冬夜と彩都の父、遼《はるか》と彩都が冬夜を心配して言い出したことだった。
人間のように能力のない身体に純血のヴァンパイアの血が流れている冬夜は、混血のヴァンパイアにとって恰好の獲物になりかねない。
遼と彩都からすれば可愛い娘、妹に悪い虫が付かないようにという意味も少なからずあったようだが…。
今のところ2人の予想していた通りそのような影は見えないが、予想外だったことは家でも完全に男として振る舞うようになったことだった。
口調、態度、服装、持ち物。元々ボーイッシュな冬夜はそれに輪をかけるように男らしくなっていった。
冬夜曰く…
「プライベートでも見られてバレたらマズイだろ」
らしい。

