「で、今日は何をしてあんな怪我を作ったんだ?」
「ちょっとな」
「ちゃんと説明しろ。何をしたんだ」
誤魔化そうとした冬夜を彩都が軽く睨む。
「…油断したんだよ。4人相手に喧嘩してて、もうやり返してこないと思って後ろ向いたら椅子で殴りかかってきて、避けきれなかった」
冬夜が喧嘩をしているのはいつものことなのだが、怪我をして帰ってきたのは初めてかもしれなかった。
「他に怪我は?」
「今は…ない」
妙な言い方になったが、間違ってはいない。
冬夜としては龍のことを彩都に話すべきか悩んでいた。
「今はっていうのはどういう意味なんだ?」
隠していて後々何かの拍子にバレても面倒なので、冬夜はあったことをすべて話すことにした。
「椅子が当たってガラスが割れたんだ。相手の奴らに怪我はなかったみたいだけど、俺は破片でここを切った」
ここと言って怪我のあった痕跡にすらも見られない頬を指さす冬夜に、彩都は一瞬怪訝そうな顔をしたが続きを話すように促した。

