いつまでもそっぽを向いてまともに応えようとしない冬夜に、彩都が自分の方を向かそうと肩を掴んだ。
「…っ触るな!」
急に肩を掴まれた冬夜は思わず彩都の手を振り払っていた。
「…その肩はどうした」
わざとではないにしろ思い切り彩都の手を振り払ってしまったことに対し、小声で謝罪する。
「…悪い」
「気にしてない。とにかく見せろ」
早くと急かされて、冬夜は渋々着ていたシャツを脱いだ。
「これは酷いな…」
冬夜の肩は紫色に変色していてとても痛々しかった。
変色している部分に彩都が柔らかく手を当てる。
「痛むけど我慢してくれ」
「あぁ…」
彩都がゆっくりと目を閉じた。
彩都に触れられている部分は段々と暖かくなり、同時に痛みも強くなってきた。
冬夜は布団を握りしめて歯を食いしばり、無言で痛みに耐えていた。
「もういいよ。お疲れ様」
痛みのせいでとても長く感じられた時間は実際には5分程度しか経っていなかった。
彩都が肩から手を離し声をかけると冬夜の身体から力が抜けた。
「ありがと…」
肩が健康的な色に戻った代わりに、冬夜自身はかなり疲れているようだった。

