家に帰り自分の部屋に入ると冬夜は制服のままベッドに倒れこむようにして飛び込んだ。
「痛っ……」
たいしたことはないと思っていた肩は、学校にいる間は気付かなかったが腕を上げることすら難しくなるほどまで腫れていた。
「どうするかな~」
このままでは日常生活に支障が出てしまう。
ベッドの上で天井を見ながらどうするかを考えているとノックの音が聞こえてきた。
「誰…?」
誰何《すいか》の問いも面倒だったが、勝手に部屋に入られるのも癪《しゃく》だったので嫌々ながら声を出した。
「彩都」
名前を言うとすぐにドアを開け冬夜の兄、彩都《さいと》が部屋の中に入ってきた。
「兄貴?何で家にいるんだよ」
「それはこっちのセリフだ。冬夜、学校は?」
彩都は冬夜が寝ているベッドに腰掛けながら聞き返した。
「…行ってきたよ」
バツが悪いのか冬夜は彩都の方を見ずに答えた。
「知ってる。家を出たのは聞いてたからな。何で帰って来てるのかって聞いてるんだ」
「別にいいだろ」
「答えになってないぞ。冬夜」

