頬に残った僅かな血の跡と手についていた血を綺麗にすると、冬夜は思い切りため息を吐いた。
疑問に思うことはたくさんあったが、それらを後回しにして周囲に人がいないことを確認しすると保健室を出た。
教室に戻るとちょうど1限目が終わり休み時間になっていた。
「あ、悠妃!どこ行ってたんだよ~」
教室に入るとすぐに屋良《やら》が冬夜の方に駆け寄ってきた。
「…ちょっとな」
「ちょっとってなんだよ!」
席が近いこともあり何かと冬夜に絡んでくる。
「まぁいいや。それより聞いてくれよ!」
そう言って何気なく屋良が冬夜の肩に触れた。
「いっ…!」
屋良としては軽く触れただけなのに予想外の冬夜の反応に驚いてパッと手を離す。
「どうした!?」
「…いや、何でもない」
別に屋良が悪いわけではない。
急に触れられて思わず声が出てしまった。
さっき椅子が当たったところが予想以上に腫れているようだ。
「やっぱり俺、今日は帰るから」
「えっ?おい、悠妃!」
言うだけ言って驚いている屋良を置いて机から荷物を取り冬夜は教室を出た。

