この学校は生徒も教師も混血のヴァンパイアが多い。
咄嗟に駆け出した冬夜だったが、人いるところに行けばさっきと同じ事だ。
頬の傷を乱暴に手の甲で拭うがなかなか血が止まらない。
「まずいな…。どうにかしないと」
人のいなさそうな場所を選んで歩いていると気が付けば保健室の近くに来ていたようだ。
保健室という単語に冬夜は重要なことを思い出した。
「そういえば、養護教諭は人間だったはず!」
急いで保健室に行こうと冬夜が走ろうとしたとき遠くから足音と話し声が聞こえてきた。
聞こえてくる声から不良たちが冬夜を探していることがわかり、出来るだけ足音を立てないように保健室へ急いだ。
周囲を警戒して度々立ち止まっていたせいか思ったより時間がかかってしまったが、何とか無事に保健室に辿《たど》り着いた。
血が止まらない頬をもう一度拭って保健室のドアの前に立ったとき、いきなり内側からドアが開き無理やり中に引き込まれた。
暴れようとする冬夜の口を塞ぎ、身動きが出来ないように後ろから抱きしめるような形で拘束される。
何とか拘束を解こうと力を込めるが全くびくともしない。

