風華の空

 
ため息を吐いていた彼らはふと漂ってきた血臭に顔を見合わせた。

「なぁ…この血の匂いは…?」

呟いた1人がゆっくりと冬夜の方を振り返った。

「やばい…!」

こちらを見た不良の瞳の色が紅《あか》に変わっていくのを見て、冬夜は考えるよりも早くその場から駆け出していた。


「何で、悠妃が…」

「あいつは人間のはずじゃ?」

「でも、今のは…純血の」

冬夜のいなくなった教室で不良たちの呟く声が静かに響く。



「捕まえてみるか…?」



ドアに向かう彼らの瞳は紅く染まっていた。