「くっ…!」
もう何もしてこないと思っていた冬夜は、反応が遅れ避け切ることが出来ずに椅子の足の部分が肩に当たっていた。
だがそれだけではなかった。
冬夜の肩に当たった椅子はほとんど勢いが衰えることなく、廊下に面したガラスに突っ込んだ。大きな音とともに割れたガラスは広範囲に散らばり、冬夜やガラスを割った本人以外にも降りかかった。
幸いにも不良たちは飛び散った破片による怪我は無い。
不良たちに怪我がないことを確認した冬夜は、ほっと息を吐きだした。
しかし、頬の痛みに眉を顰《ひそ》め、慌ててそこに触れる。
見るまでもなかったが、手には血が付いていてガラスの破片で切ってしまったことがわかった。
床に倒れていた不良たちは互いに手を貸し合って立ち上がっているところだった。
「大丈夫か?」
「あぁ…でも…」
「また負けた…」
「しかも…」
不良たちの視線の先には見るも無残に砕け散ったガラス。
もちろん掃除は彼らがすることになるだろう。

