「さむい…」
そうつぶやいた、私の声は白い息も一緒に吐き出された。
美恵の電話が切れたあと、自分のPCメールを開いて驚いた
『蒼ちゃ~んプレゼント!』
とという件名が入ったメールには、旅館の宿泊メールが追加されていた。
慌てて、美恵に電話するがすでに留守番電話に切り替わるという業を使われていた…
真冬に海近くで宿泊ですか…と思わず嘆きそうになったが、メールの最後に『あおいちゃんへ
宿泊いかなかったら、あおいちゃんのメールアドレス若手に横流ししちゃうからね~』
という脅迫めいた内容が追加されていなきゃいなかっただろう…
美恵はやると決めたらほんとにやってしまう女なのは、一緒に仕事をして知っている。
「ようこそおいでくださいました。寒かったでしょう。どうぞこちらへ」
美恵が予約してくれたところは、海が目の前の旅館で、どの部屋からも海が見えるという旅館だった。
「東京からだと特に寒く感じるのではないですか」
そう、前を歩く中居さんに話しかけながら部屋まで案内をされた
「そうですね。やはり冬なんで、こちらは空気が冷たいですね。でも海がとても綺麗なので見にいきたいですね」
「ぜひ、こちらの海岸を左手に進んで行きますと大きな岩場があり神社もありますので見に行ってみてくださいね」
お部屋はこじんまりしていたが、暖かくなっており、部屋もあえて高級感をイメージするより田舎の作りを意識して作られていた。
