裏表ラバーズ

ガタンッゴトンッ
ガタンッゴトンッ


やばいぞ。マジやばい。
今、私…痴漢にあってるかもしれない。


かもしれないって言うのはつまり私の勘違いかなー…なんて、思えるかっ!!


ゾォッ


キモいッ!キモいんだぞっ!!どうする!?叫ぶか?叫んだ方がいいのか?コレッ


私が声を出そうとした時、

『ぃだだだだッッ!!』


「ッ!?」


私は叫ぼうとした言葉を呑み込み、声がした方をバッと振り向いた。


『あんた、最低。』


そこにいたのは隣のクラスの宮城朔也(ミヤシロサクヤ)だった。


『えー何?痴漢?』


『ヤダー…』


『ふざけんなよ。』


車内がざわめき出し、痴漢していた男はチッと舌打ちをすると


『おい、離せ!ふざけんなよ!!離せっ!!!』


暴言を吐き、暴れだした。見かねたのか宮城朔也は軽くため息をつき


『少しはお静かになられませんか?』


ギリッと相手の手首を片手だけでしっかり握り直した。

…宮城朔也。
1年C組、あまり話さない無口でクールな人でオールマイティーらしい。

いつも、さながカッコいいとかすれ違ったとか何でも出来るとか…


まぁ、顔もイケメンさんだからこの人もモテるであろうよ。


『ねぇ、君……大丈夫?』

いきなり声をかけられハッとした。
朔也くんがこちらを心配そう(?)に見ていた。


「ぁ…大丈夫です。ありがとうございました。」


私はお礼を言いペコリとお辞儀をした。


すると、朔也くんはフッと笑い、痴漢野郎と駅のホームへと消えて行った。


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