「でも、里緒がオレにチョコくれたんだから、その責任をとってよ」
「そもそも、あたしはチョコなんてあげてないでしょ?」
「何言ってんだよ。くれただろ。ホラッ」
そう言って、目の前に突き出されたのは、10円のチロルチョコ。
「あぁ!」
そういえば、チョコくれってうるさいから、たまたま鞄に入っていたチロルチョコをあげたんだった。
でも、なんで今も持ってるの?
「オレ、めちゃめちゃ嬉しくて、ずっと肌身離さず持ち歩いてるんだ」
東くんは大事そうにチョコを握りしめると、腰に巻いたエプロンのポケットの中に仕舞った。
本当に持ち歩いてるの?
チョコなんて溶けるし、いつかは腐るのに。
そこまであたしを思ってくれているの?
ちょっとジーンとしちゃうよ。
「だから、オレと付き合ってね」