海里が私に宛てて書いてくれた手紙は、愛海と一緒に読むことにした。
「愛海?」
「なぁに?」
「パパからの手紙一緒読もうか?」
「うん」
震えた字の封筒をゆっくり開く。
中には、2枚の便箋と1枚の写真が入っている。
その写真は、夏祭りの時の花火だった。
キレイでも儚く散る夏の大華。

手紙を読んで私は、泣かずにはいられなかった。
《美奈へ
美奈がこれを読んでるって事は、俺はもうお前の隣にはいないって事だな。
ゴメンな…最後まで守ってやれなくて…
元気にやってるか?お前は俺がいないと何もできねぇからな。
風邪引いたら早く言えよ。お粥作ってやっから。
俺、美奈との子ども作りたかった。って言うか、期待していいか?俺との子ども
出来てる?なんてな…
弱いよな、俺。癌相手に闘えねぇなんて…。もっと美奈の傍にいてやりたかった。
でも神様は、俺の願いを叶えてはくれねぇんだな…
なんか、不公平だよな。俺、もっと生きたいのに
お前に会えて俺はホントに幸せ者だった。蓮やまりあそして美奈、何よりお前には
すっげぇ感謝してる。今までありがとうな。
海里》

“お前に会えてホント幸せ者だった”
私の方が幸せ者だよ。海里の子どもまで授かれて、たくさんの思い出を海里に
もらって…
「ママぁ?」
「愛海…これからも強く生きていこうね。パパの分まで…」
「うん、愛海強い子になるの!」
「そうだね」
こうして見上げた空には、涙で滲んだ星が見えた。
すっごく滲んでて星がいくつも並んでいるような感じがしたの。
でもホントは海里、あなただったのかもしれないね…