私達が帰った後海里の容態が急変したらしい。
急いで集中治療室に運ばれた海里。
3人が病院に着いたころには、大勢の看護師さん達に囲まれて
手術を受けているところだった。
「海里!海里!」
ガラス越しに海里の名前を必死に叫び続けた。
その願いも儚く季節を終えた蕾が落ちるように、海里は息を引き取った。
――――ピーッ。
機械の音だけが鳴り響く静かな治療室。
午後23時57分、ご臨終です。
医者は時計を見て海里のマスクを外した。

「待って!まだ海里は助かるってば!お願いだから…」
「美奈!しっかりして!うちらも辛いんだってばぁ…」
運び出される海里の姿。
呆然と立ち尽くす私達の前をまるで、寝ていて起きないかのように
海里は通り過ぎていった。

その日一睡もできず朝を向かえた。
私達は海里の姿を見ることにし、病院へ行った。
今にも起きそうなほど静かに目を閉じる海里…
「ううっ」
「美奈?どうしたの?」
「ヤバい、吐きそう…」
急いでトイレに行き、まさかとは思いながらもその帰り道薬局で
妊娠検査薬を買っていく事にした。

「嘘…赤ちゃん出来てる…」
「ホント?!」
海里との赤ちゃん。お腹の中には、海里との子どもが出来てた。
詳しい検査を進めると女の子だって事が分かった。
海里の死を追いかけるかのように新しい命を授かった。