長い長い夏休みが終わって学校が再開。
久しぶりの授業は、憂鬱すぎて頭に入らなかった。
あの夏祭りの余韻に浸りすぎててね。
「はぁ～い、今日はここまで！」
窓を開けてても全然風も入ってこない、蒸し暑い教室に先生の声が響きわたる。
「まりあ、帰ろ～っ」
「美奈～、アイス食べて帰ろ～！」
「うんっ！そうだね☆」
まりあと別れた後、気づけば知らない男達に囲まれていた。
「お前、大森美奈だろ？」
全く知らない男達に恐怖感と言う言葉しか出てこなかった。
膝がガクガク震えて立ってる事すらままならない。
どうしよう…逃げなきゃ…
頭では考えられてても、行動できない。
そんな時、お腹に激痛が走った。
「痛っ！」
思わず声を上げれば男の１人が近づいてきた。
「殺されたくなかったら、大人しくしてろよ」
冷たく言い放たれた後、暗い裏通りに連れて行かれた。
「お願いだから、離して！」
そんな私の願いも虚しく１人が制服のリボンに手をかけた。
手足を縛られ、口を押さえられていて、むしろ女１人の私の力では大勢の男に
抵抗しても敵うはずがなかった。
もてあそばれた後、ちぐはぐなボタン、ちゃんと履けていないかかとを踏みっ放しの
ままの靴で家まで全力で帰って行った。
急いでシャワーに向かい、男達に遊ばれた所を勢いよく洗い流した。
でもそんなことをしてもあの記憶が消える訳でもなく男達のいやらしい声や顔が、
記憶の中から無くなる事は無かった。
その日から、男という物に過剰に反応してしまうようになった。
消したくても消せない記憶、海里や蓮、まりあには心配をかけられないという
思いが混ざり合って混乱の日々が続いた。