「それに、赤ずきんちゃんに“狼さん”って呼ばれるのも、嫌じゃなあんですよ? ――なんか、秘め事、みたいですよね」



「……なっ…!」



 私が驚きの声を出すのを無視して、狼さんは、ね?と言って同意を求める。


 そんな彼に、私はこくりとうなづくことしかできない。



 考えてみれば、私は一度も狼さんに逆らえた試しがない。

 裏を返せば、私は逆らえないぐらい、狼さんに溺れているっていうことになる。