「いった……なにすんの、暴力反対」





叩かれたところをさすりながら冷たい視線を向けると、直弥がやれやれと首を左右に振り 





「あのなぁ、今時の男の子はガラスのハートなんです。 そんな簡単に声かけられるかっつーの」


「まあ、直弥は羊の皮を被った狼だし?」


「つうかアレだよな、祐都モテんだからお前いけよ。 なっ!?」


「は? ヤダ」





どうしてオレが直弥の為にナンパしなくちゃならないんですか。


ビュウッと吹いた冷たい10月の風に黒い髪を揺らすと、オレはズボンのポケットに入れていた携帯を取り出す。





「なあなあ、いいじゃんかよー」





直弥がまだ何か言ってるけど無視で。


今の時間を確認すると、オレはまたポケットに携帯をしまい





「悪いけどオレ、今日は急ぐから」