しかし、私は吉川くんと
友達になることができた





8月20日

よく晴れた日だった




私はその日に限って
家を早く出て塾へ行った




塾の駐輪場の前に吉川君はいた


吉川君は私の方を見た





『おはよう』


吉川君が言った
私も動揺がばれないように

「おはよう」


と返した


『同じクラスの吉良さんだよね?』


「うん、吉川君だよね?」


『そう、話すの初めてだよな
『はよー、悠紀』』


誰かが吉川くんの言葉を
さえぎった



普通遮られたら
嫌だと思うのかも知れない
だけどあの時の私には
救戦士だった




私の鼓動は速かった