ユビキリ



「アダ名はあるんですか?」

『ないのね。』


即答された。


『そんなもの必要ないのね。』


必要あるかどうかは別に。

それはちょっと意外だった。


「雛人形とかありそうなのに。」


――そう言った瞬間。

睨まれた。

今にも人を殺しそうな目。


「ははは。じょっ冗談ですよ」

『だったらいいのね。』


助かった・・・。

視線だけで殺されそうになった。