そう話しかけてきたのは新入社員の美紅ちゃん。
…今時の若い子オーラが満点で、少し苦手だと思っていることは内緒だ。
「その指輪!結婚指輪ですよね?」
「あ〜…、これはそんなんじゃないの」
私は左手にちらりと視線をやってそう答える。
すると美紅ちゃんは不思議そうな表情を浮かべたままで。
「………好きな人とお揃いってところは結婚指輪と同じだけど、その人にはもう会えないから」
普段なら適当に誤魔化すのに、美紅ちゃんの純粋な疑問の瞳に気づけばそう答えていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…