竹中さんがいなくなってから数日はふとしたときに涙が溢れて止まらなくなるときがあった。
それでも今は、なんとか独りで生きている。
今日だっていつも通り会社に向かい働くんだ。
「じゃ、いってきますね」
玄関に飾られた額縁に納まる手紙にそう声をかけ、私は玄関を出る。
今の私に大切なもの。
それは指輪とこの手紙、そして竹中さんを想う気持ちだけだった。
―――出社してパソコンのメールチェックをしているときだった。
「橘さんって結婚してるんですか?」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…