竹中さんが元の世界に戻ってから半年が経った。
記憶が色褪せていかないのは、左手の薬指にしっかり収まるプラチナリングの仕業。
でも外す気は毛頭なく、私はそれを竹中さんに見立ててたまに話しかけたりするんだ。
「おはよう、竹中さん。…こちらは今朝もよく晴れてますよ」
太陽に左手ごとかざすと指輪は光を反射して輝くだけで、やっぱり返事はない。
「…会いたいなぁ」
たまらずそう言った。
忘れられなかった。
私はまだ、竹中さんを想っていた。
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