「自分に正直になれ。その想いと公への忠誠心は別物だ、罪悪感も恥入る必要もない。………惹かれていたんだろう?あかりとやらに」
諭すような官兵衛の声に、俺は限界だった。
月明かりが眩しくて、視界が揺らぐのを隠すこともままならない。
「…あかり、が」
「…うん」
「………泣いていても、もうなにもできない。もう会えない。私が、」
あかりを幸せにしたかった。
「半兵衛にここまで言わせるんだ。よっぽどいい女なんだろうな」
拭っても拭っても止まらない涙。“初恋は実らない”と未来のてれびが言っていたのを、俺はぼんやりと思い出していた。