官兵衛の話によるとその日から8日あまり眠り続けていたらしく、俺は頭を抱えた。


あかりと過ごしたのは一月なのに、こちらでは8日しか経っていないのだという。
しばらくその場で考えてみたけど答えなんか出るはずもなく、そもそも“未来に行った”だなんて説明のできない出来事があるくらいだ、もう何でも有りなんだろう。



「まぁいい!俺は秀吉公に報告してくるから着替えておけよ。…公も心配していた、早く元気な姿を見せてやれ」


秀吉公―――我が主の名前を耳にした瞬間、背筋が伸びる思いがした。


あぁ、と返事をし立ち上がると寝巻きの中で指輪が小さく動いて胸に当たる。
忘れないで、とあかりに言われているような気がした。



「…忘れるものか」