竹中さんは戦国時代からやってきた人でいつか戻ってしまうことを、私はうっかり忘れていた。


…いや、忘れたつもりはなくて、ただ。
“まだ戻らないだろう”と高をくくってた。


だってまだ竹中さんが来てから一月くらいしか経ってなくて、もっとこの時代を満喫してほしくて。
本当に有名な軍師なら尚更、きっとあっちじゃ心から気を抜いたり笑ったりすることもないんだろうと思ってたから。


窓際で本を読みながらうたた寝している姿とか、興味本位で口を付けた炭酸飲料で涙目になる姿とか。
長風呂をしてきてトロンとした顔で戻ってくる姿とか。


そんな些細な日常が積み重なって、だんだん距離が近づいて。


日溜まりにいるような温かい日常をもう少し味わいたかったの。