革紐に通された指輪を目の前に差し出された竹中さんは目を丸くしてそれを手に取る。
それを首に通すと、柔らかく笑ってくれた。
「…確かにこれならどこにでも持っていける。わざわざすまないな」
―――あれ、なんだろう。
一瞬竹中さんの周りが揺らいで見えた。
「………どうした?」
「い、いや…なんでもないです!それよりそろそろお風呂入っちゃってくださいね!」
私が誤魔化すように声を張り上げてそう言うと、竹中さんはわかったわかったといつものように返して浴室に向かっていった。
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