「…そういえば竹中さんの時代には指輪をはめる週間なんてないですよね?」


私がそう言うと、やっと彼は視線をこちらに向ける。そのとき小さく頷いたのは肯定の印なんだろう。


その言葉に私は寝室に向かいあるものを持ってきた。



「指輪貸してください」


「…?あぁ」


掌から掌に滑り落ちる指輪。ほんの一瞬触れただけの体温に心臓がきゅっとなる。


悟られないように私は竹中さんに背中を向けた。



「はい。これならなくさないでしょう?」