「さっきの言葉、冗談でも嬉しかった」


俯くあかりの表情は見えない。



「………初めてだったから。“守る”だなんて」


床に落ちる雫。



「ここに来たのが竹中さんでよかった」


そう言ってぎゅっと俺の手を離さないあかり。
でも、俺は握り返してやらなかった。


………これ以上近づいてはいけない。踏み込んではいけない。


俺はずっとこいつのそばにいることができない。


…いつかこの手をすり抜けてしまうのだから。